「千尋の友達?」
「うん、一人だけ。水嶋っていう同じクラスのやつ。他のやつはあんまり知らない」
あのゆるい話し方をする男の子は、水嶋君っていうらしい。
あまり感じのいい人ではなかったけど、鼻もすらりと高かったし、きれいな目をしていたから、千尋と同じくらい女の子に人気がありそうだ。
「なんか、モテそうだね」
「水嶋?」
「うん。顔かっこいいし」
……ていっても、私は全くタイプではないんだけどね。
そう心の内思いながら言った言葉は、つまらない社交辞令みたいになってしまった。
「ーー紹介してあげよっか?」
千尋が私の頭にポンッと手をおいて、にやりと笑う。
私は悪巧みをしていそうなやつの顔を見上げて、睨んでおいた。
「いい、間に合ってる」
「はは、どこが?」
隙あれば私を馬鹿にしたい千尋と、そういう隙をつくってしまう私。
水嶋君はタイプじゃないし、そもそも水嶋君が私を気に入るとも思えない。
千尋が紹介したところで、うまくいかないにきまってる。



