シャワーを浴び、あたしはいつものシャンプーで長い髪を洗っていた。


「分かるようで、分かるわけないよね。……親子なんてさ」


熱いシャワーを全身に浴びながら、そんな風にぶつぶつと呟やく。


そしてあたしは、何気なく後ろの髪を前にとかした。


すると…


「な、なにこれ…?」


髪をとかした手に、長くて黒色の髪が束でからまっていたのだ。


一瞬、髪が大量に抜けたのかと思った。


だけど、あたしの髪はブロンドに近いくらい明るい茶髪だ。


「なんで、あたしの髪から…?」


よく見ると、その髪の色はお母さんの髪に似ていた。


でも、お母さんはショートカットだし、そもそもあたしの髪に束でつくのはおかしい。


不思議に思っていると、


バチバチ…!!


「えっ…!!」


お風呂の電気がいきなり点滅を始めた。


わけがわからないまま、あたしは恐怖で体を縮める。


ピキッ。


何度かの点滅のあと、あたしの目の前の鏡に突然、大きなヒビが入るのが見えた。


とっさにあたしが鏡の方に目を向けると、


バリン……!!!!


「うぁっ…!!」


鏡は音を立てて割れてしまった。


「痛゛っ…!!!!」


右目の上の辺りに激痛が走る。あたしはお風呂の床に倒れた。