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「もう、いないよね…?」


5分くらいして、あたしは憑霊が近くにいないことを確認してから押し入れを出た。


すでにゲームが始まってからかなりの時間が経っている。


きっと現実世界では、憑霊があたしの体を乗っ取って暴れている頃だろう。


「そういえば、英美と由梨は無事なのかな…?」


今さらだけれど、二人のことが心配になってきた。


椅子に縛られているとはいえ、二人は憑霊に乗っ取られたあたしのすぐ近くにいる。二人のためにも、なるべく早くゲームを終わらせた方がいいかも。


「けど焦っちゃダメだ。慎重に……なるべく憑霊に出会さないように探さないと…」


あたしはまた屋敷の探索を再開した。


耳と目で憑霊がいないことを確認しながら屋敷の奥へ進んでいく。


すると、ついにあたしは屋敷の最深部らしき扉の前にたどり着いた。


「なんか、ヤバそうな雰囲気…」


刀で切りつけられたような傷が一面についた真っ赤な扉だ。……それに何か不気味で怖い気配を扉の向こうから感じる。


……正直、入るのをためらってしまう。


だけど、直感でここに何かがあると感じた。


「よし、行くか…」


あたしは勢いよく扉を開けた。