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それから15分くらい刀を手に屋敷の中を探索した。


かなり歩いたけれど、真っ暗な廊下はまだ見えなくなるまで奥に続いている。


「はぁ、どんだけ広いのよこの家…」


思わずため息が出た。幸い憑霊には会わなかったけれど、かなり疲労が体にたまってきた。


「ん? なんだろう? 良い匂いがする」


廊下を歩くあたしに、ふと梅の花の香りがした。不思議に思い、あたしはその匂いのする方へ歩く。


「あっ!!」


そこは屋敷の中庭だった。


藍色の夜の中、月明かりがぼんやりと照らす庭に、白とピンクの花を咲かせた梅の木がたくさん植えられている。


思わず息を止めてしまうくらい幻想的な雰囲気だ。


「あれ? あそこに誰かいる…」


中庭の縁側に、一人だけポツリと座る男の人がいた。


その人は神主の格好をしていて、なぜか顔には真っ白なお面をつけている。