正真正銘の化け物だ…。


こんなやつを相手にどう逃げろっていうの…?


ギギギギギギギギギギギギ……!!


憑霊はまた体を縮め出す。もう一度さっきの体当たりをするみたいだ…!!


あたしはジリジリと後ろにさがる。


「痛っ!!」


後ろを見ずにさがっていたあたしの背中に何かがぶつかった。振り返ると、


「っ……!!!!!!」


それは池の近くの木で首を吊って死んだ和服の男だった。服装からして、たぶんこの神社の神主だ。


ダッッッッッッッッッッツ!!!!


男に気を取られていたあたしに向かって、憑霊は一直線に飛びかかってくる。


さっきと同じくらい速い。まるで人間大の銃弾だ。


「うわぁぁああ!!!!」


驚いたあたしは、足元の泥に滑り転んでしまった。


すると憑霊の体はギリギリのところであたしから外れ、さっきの首を吊った男に衝突する。


グシャアアア……!!!!


憑霊とぶつかった男は、お腹の辺りから真っ二つに裂け、男の内臓と血が辺りに飛び散った。


バシャン…!!


憑霊はそのまま池に落ちる。池には一緒に落ちた男の肉塊がプカプカと作り物のように浮かんでいた。


「い、今のうちに…!!」


あたしは全力で走って屋敷の中へ逃げていった。


「……ほんと、なんなのよもう!!」


心臓が戻ったことで前回のゲームより憑霊の力が確実に強くなっている。


憑霊の体を見つけ出すだけでも大変なのに。……二回目のゲームがかなり難しくなっていると痛感した。