それから一時間近くが経った。


最初は面白半分で聞いていた二人も、だんだん怖くなってきてあたしの話にのめり込んでいった。


「あとは、いきなり黒い目玉をした人達が現れたり……とにかく普通じゃありえないことばっかり起こったんだよ」


「なんか、聞いてるだけで鳥肌たってきたっす……」


英美はかなり怯えていた。


「きっと夢の中だから、現実ではあり得ないことが起こってもおかしくないのかもね…」


由梨が何気なく言った言葉に、あたしはハッとした。……たしかにその通りかもしれない。


そんなとき、時計の針が深夜一時をさした。


いつもならとっくに眠っている時間だ。


「まだまだ朝まで時間あるっすね。七海さん眠くないっすか?」


「うん、平気。むしろ目が覚めてきたかも」


あたしが言ったのと同時に、ビュッ!!と突風のような冷たい風が吹いた。


驚いたあたし達は一斉に風が吹いた方を見る。


しかし、そこには何もない。


「部屋の中っすよね…? クーラーの故障すか?」


「でも、つけてないし…」


不思議に思うあたし達の耳に、どこからか不気味な声が聞こえてくる。