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カーテンから朝日が射し込み、ようやく長い夜が明けた。


時刻は6時半。


サッカー部の朝練がある恭也ならとっくに起きている時間だ。


あたしは再度、恭也の携帯に電話をかける。……だけどまたつながらなかった。


今度は恭也の家の電話にかけることにした。


もし恭也が出なくても家族から恭也のことを確認することができる。


三回目のコールのあと、


「はい。沖田です」


女の人の声がした。この声はたしか恭也のお姉さん、沖田恭子(オキタキョウコ)さんだ。


大学生の恭子さんとは恭也の家に行ったとき何度か話したことがあった。


「あの、あたし、前に家にお邪魔した樋口七海です。恭也って今いますか?」


あたしは祈るような気持ちで恭子さんに聞いた。