目に映ったのは、人間の首の断面から飛び出した白い骨と、それをつたいながら落ちる真っ赤な血だった。


「ミー、ツケタァ…!!」


「うわっ!!!!」


……さっきまで理科室にいたはずなのに。


飛び移った先の音楽室のベランダから憑霊が身を乗り出してあたしを見下ろしていたのだ。


驚きのあまり全身の力が抜ける。あたしは柵から手を離してしまった。


「あっ…」


憑霊はあたしを捕まえようと手を伸ばした。が、その手は落下するあたしには届かず空を切った。


「うああああああああ…!!!!」


口から内臓が飛び出すような凄まじい浮遊感を感じる。あたしは猛スピードで地面に吸い込まれていく。


……身動もとれず、ただ落ちるのを待つしかない。本気で“死”を覚悟した。


バキバキバキ…!!


途中、外の木の枝の中を突き抜ける。


その直後、


「うぐっ…!!!!」


雷にうたれたような衝撃が全身に走り、口から血を吐き出した。


あたしは三階のベランダから落下して地面に叩きつけられたのだ。