さっきの変な男が持っていた“偽物”とは雰囲気が明らかに違っていた。どこか重苦しく、喉が焼けるような感覚があり、顔を見るのも怖いくらいだ。


でも、これでようやく、あたしの悪夢が終わるんだ。


その思いに体を震わせながら、あたしは分娩台の前に立ち、頭に触れた。例の宣言がベロの下まで来る。そのとき、あたしの胸に、ある思いが過った。


静華の顔って……どんなだろう?


怖い気もしたけれど、どうしても確かめたくなった。現実では二度と見ることのない、あたしと同じくらいの年齢まで成長した静華の顔がそこにあるのだ。


意を決し、あたしは静華の髪をつかむ。胸の高鳴りを感じながら、グイッと頭をまわし、こちらに顔を向けさせた。目の前には、静華の顔。それを見て、


「あ、あたしとそっくりじゃん…」


思わずそう呟いた。目を閉じ、穏やかに眠るような表情を浮かべる静華は、鏡や写真で見慣れたあたしの顔にそっくりだった。


“双子”だからだよね?


そう思いつつも、あたしの胸に雑然とした違和感が広がる。無意識のうちに、それは大きな不安に変わり、額から冷たい汗が流れ落ちる。


おもむろに、あたしは静華の前髪に触れた。静華のサラッとした絹のような髪が流れる。するとその隙間に、


「えっ…!?」


あたしは信じられないものを見つけてしまった。