窓を覗くと、下に大きな病院の中庭があった。白い電灯が点いていて、四階からでも庭園にある色とりどりの花を見ることができた。


「そういえば、まだ病院の外は探してないな」


一日目の学校の時も、校舎の外で心臓を発見した。だから今回も、案外盲点になりがちな屋外に隠してあるのかもしれない。


そう思い、中庭に“頭”がないか見渡す。すると、暗闇の中から誰かが姿を現した。


「し、静華っ!!」


それは静華だった。静華は庭園の中に入り、辺りの様子をうかがう。


驚いたあたしは、体を固め、じっと静華を見つめた。


すると静華は、あたしの方に体を向け、あたかも頭があるような動作で、あたしを見上げた。


「……しまった!!」


あたしの居場所に気づかれた! ドッと汗が噴き出し、息を飲む。


落ち着け!! すぐに追ってこれるわけじゃない! 静華が四階に上がってくる前に、どこかに隠れれば……


そう思ったとき、今まで二足歩行で歩いていた静華が、両手をつき、四つん這いになった。


「まさか…」


じっと静華を見守る。静華は一瞬のタメの後、激しい土埃をたて、走り出した。


壁にぶつかる!?


そう頭で思ったか思わないかの一瞬で、静華は蜘蛛のように壁を登り始めた。二階、三階と瞬く間に登る。気がつくと、バキバキッ!!!! と静華は目の前のガラスにヒビを入れ、張りついた。