黒板の横には大人ひとりが入れるくらいの大きさのガラスケースがある。


その中にいつもならあるはずの人体模型がなかったのだ。


不思議に思い、ガラスケースの前に向かい中をのぞいてみた。


やっぱり、人体模型の本体はどこにもない。


だけどケースの底には人体模型の心臓と両腕が残されていた。


誰かが意図的に人体模型を別の場所に移動させたのだろうか?


……それにもしかすると、ここに人体模型の心臓があるってことは、代わりに憑霊の心臓を人体模型の中に隠したのかも。


だとしたらいなくなった人体模型を探さないといけないんだけど。


どこにあるかなんて検討もつかないしなぁ。


そんなことを考えていると、


ドン…!


ドン…!


「この音って…!?」


憑霊の足音が理科室の外から聞こえたきた。