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あっという間に夜になり、時刻は深夜の一時を過ぎた。


あたしは由梨の家で、二日目の時のように椅子に縛られていた。


今度は絶対に抜け出せないように、手足は鉄の手錠で固定した。


「ねぇ、あたし、ちょっと思ったんだけど」


目の前にいる、落ち着かない様子の由梨と英美にあたしは言った。


「なんすか? 七海さん」


英美が聞き返す。


「その……ゲームが終わったあとのことだけど、ほらあたし今、モデルの仕事、辞めちゃってるじゃん」


あたしは恥ずかしがりながら言った。


「ああ、復職希望ってこと? loveteenの」


由梨が言うと、あたしは照れ隠しで笑い「ううん。そうじゃなくて。今度はあたし……お母さんみたいな女優に挑戦してみようかなって、思ったりしてて」と言った。


「女優!? 七海さん、映画とかドラマに出るんすか!? すげぇ! マジすげぇっす!」


英美は目をキラキラさせて言った。


あたしは首を横にふり「いや、あたしなんかが、どこまでやれるか分からないけどさ。それにお母さんみたいになるには、すごい努力が必要だと思うし」と言った。それから少し間を置いて、


「けど思い返すとね。あたしが最初に憧れたのは、テレビの中で女優の仕事をしてたお母さんなんだ。お母さんと向き合って、その“憧れ”に素直になれた今だからかな? あたしはこの夢を、本気で追いかけたいって思ったんだ」


とはにかんで笑った。