由梨も立ち上がり「そうね。どんな事情があれ、静華のしてることは間違ってるわ」と英美に続いた。


二人の言葉にあたしはうなずき「分かってる。それにもし静華に同情すれば、きっとあたしの方が負けるだろうから」と言い、取れかかっていたお地蔵様のよだれかけを直し始めた。


「今日のゲーム、必ず勝たないと。カイトさんも言ってたでしょ? 静華の魂はあたしの中にあるって。ゲームに勝てば、きっと静華の魂も帰るべき場所に帰れる。それが静華にとっても、一番いいことだろうから」


よだれかけを結び終え、二人に言った。


「ええ。きっとそうよ。静華にこれ以上、罪を重ねさせないためにもね」


由梨が言った。夕日は沈み、朱色の空は水底のような藍色に変わっていく。あたしは立ち上がり、二人の手を握る。


「じゃあ、そろそろ帰ろうか」


そう言うと、二人はこくりとうなずいた。あたし達は静華のお地蔵様の前から立ち去る。


……なんだか少し、気持ちがスッキリしたかも。そんなことを思い、一度だけ後ろを振り返る。


すると静華のお地蔵様の前にある風車が、風がないのに、ひとりでにクルクルと回っていた。