「誰もいないよね…?」


あたしは恐る恐る理科室に入り静かに扉を閉じた。


見る限り人の気配はない。


けどさすがに夜の理科室はかなり不気味だ。


教室の後ろには試験管とか実験道具を納めた棚があって、その上には鳥や狐、ワニなんかの剥製が置いてある。


剥製はとっくに死んでいるはずなのに、まるで理科室に来たあたしをじっと見ているような気がした。


「でも怖がっている暇はない。すぐに調べないと…」


外の様子も気にしながら、手早く理科室内の調査を始めた。


棚の中、実験台の下、剥製の後ろ。見落としがないように隅々まで探べた。


……だけど人間の心臓らしきものはどこにも見当たらない。


どうやら理科室ははずれみたいだ。


そもそも心臓を理科室に隠すとかちょっと考えが単純すぎたのかも。


そう思い、あたしは理科室を出おうした。


「ん? 待てよ…」


そのときあたしは理科室内のある違和感に気がついた。