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それからあたし達はお母さんのメモに書かれた場所に向かった。


来たときと逆に電車を乗り継ぎ、あたし達が住む凪瀬町(ナギセチョウ)に戻ると、そこからバスで移動し、普段あまり行くことのない町の外れにやってきた。


「…………」


ここにくるまで、あたし達の間にほとんど会話がなかった。


お母さんと和解できた嬉しさもあったけれど、あたしはずっとお母さんから聞いた静華のことを考えていた。由梨と英美も、色々と気持ちを整理している様子だった。


そうしているうちに、あたし達は目的の場所にたどり着いた。


そこは雑木林の中にポツリと立つ、古びたお寺だった。


お寺の中を少し進むと、


「うわっ、何んすかこれ!?」


思わず、あたし達は目の前の光景に釘付けになった。


夕日の赤い光の中、そこには100を超えるお地蔵様が並んでいた。それぞれ目の前には花と赤い風車が供えられている。