「やっと分かったか…?」


そう呟き、村上さんは息を切らせ、タバコを吸おうと取り出した。


そんな村上さんに、あたしは強い口調で「知らないよ。おまえらの事情なんて…」と言った。


「はっ? なんだと?」


イラッとした顔で言い、村上さんはせっかく取り出したタバコを地面に落とした。


あたしは顔を上げ、


「……あたしはただ、真実が知りたいだけだ!! お母さんの口から!! どんなに残酷でも、それがお母さんにとって辛いことでも!! あたしにはそれを知る権利がある!! ……それができなきゃ、あたしは前に進めない!!!!」


堂々と、そう叫んだ。あたしの言葉に、村上さんは目を血走らせ、表情を歪めた。


口では言わなかったが、その表情には“殺してやる!!”という強い殺意が見てとれた。


村上さんは拳を振り上げながらあたしに迫る。


あたしはずっと、多分、今まで誰に向けたよりも強い反抗心を持って、村上さんを睨み続けた。


そのとき、


「やめて!!!!!!!!」


お母さんがあたし達の元に駆けつけ、叫んだ。


その後ろには、涙を流す由梨と英美の姿がある。


「村上、七海から離れて。早く」


お母さんが言うと、村上さんはハッと我に帰り、あたしから距離を取った。


「30分……いえ、20分でもいいわ。楽屋を貸して。七海と、この子達と話がしたい」


お母さんはそう言うと、あたしをまっすぐ見つめた。


その瞳にはあたしと同じ……何か覚悟を決めたような、強い意志が宿っているように思えた。