「お母さんに会いに来たの!! あたしはどうしてもお母さんに、確かめないといけないことがあるの!!」


村上さんに負けないくらい力を込めて、あたしは言った。


「確める!? 何をだ!?
えっ? まさかおまえ!!?」


ぎゅっと両肩を握る力が強まる。


「そうよ! 村上さんもよく知ってるはずだよね!? あたしの“生まれ”のこと!! お母さんがずっと隠してきたことよ!!」


あたしは肩にあった不快な手を払い、叫ぶ。


村上さんの顔は真っ青に変わり、


「帰れっ!! やっぱりおまえは“俺達の”癌だ!!」


と今度こそ大声で怒鳴った。


「うるさい!! 俺達って何よ!!? あたしは含まれないの!!? あたしに言わせれば、家族でもないおまえの方が部外者よ!!」


いよいよカッとなってあたしが言い返す。


「餓鬼が…!!? 知ったような口を!! 何も分かってないなおまえ!!」


村上さんはあたしの胸ぐらをつかむ。


「痛っ!! 離せよこの変態!!」


「ようやくここまで来たんだよ!! 静海のキャリアも、彼女の負った傷も…!! 全部、俺が!! 俺達がここまでにしたんだ!! それをいつも掻き回すのがおまえなんだよ!!」


そう叫ぶ村上さんの手に、あたしはおもいっきり爪を立ててやった。


あたしのちょっとした反撃に、村上さんは表情を歪め「この餓鬼ぃ…!!」と声をもらし、あたしを地面に叩きつけた。


「あの人におまえみたいな娘はいらない!! あの人が母親である必要もない!! 分かったら今すぐ帰れ!! これ以上、静海を苦しめるな!!!!」


吐き捨てるように言った言葉に、あたしは目をカッと開き、唇を結んだ。そしてゆっくり立ち上がると、うつむいたまま口をつぐんだ。