「だから七海。自分が誰にも必要とされていないなんて、悲しいこと言わないでよ。私や英美だけじゃないわ。恭也君や、静海さんだってそう。七海を失ったらどれだけ辛いか……その気持ちを考えて……」


その言葉にあたしは「ごめん……由梨、英美」と返事をした。


……思えばあたしは、人の気持ちと向き合うことから逃げていたのかもしれない。……本当の気持ちを知り、自分を拒まれることを恐れるあまり、勝手に人の気持ちを決めつけて、自分から溝を作ってしまっていた。


だからこんなにあたしを思ってくれている友達が近くにいたのに、その気持ちに気づくこともできなかった。


だけど、今ならはっきりと分かる。


涙を流しながら、あたしは二人に視線を向け「あたし、間違ってたよ。ゲームからもみんなからも逃げて、何もかも諦めようとしてた。……けど、今なら分かるよ。みんながあたしのこと、どれだけ思ってくれていたのかも」と言い、にこっと笑った。


「やっと、らしくなったすね。あと一日。絶対勝てますよ! 今の七海さんなら!」


英美は涙をふいて言った。隣にいた由梨も涙をふき、


「それに恭也君はまだ憑霊の手の内よ。憑霊に殺された恭子さんのためにも、必ず取り戻さないと。それができるのは七海だけなんだから」


と真剣な声で言った。


あたしは「うん。分かってる」とうなずき、まっすぐと二人を見た。昨日のカフェで、恭也のために涙を流した恭子さんの顔が過る。


「だったら、今やるべきことも分かるわね。最後の憑霊ゲームに臨む前に…」


由梨が言うと、あたしはもう一度うなずき「行こう。お母さんの元へ」と二人に言った。


……生まれてこれなかった、姉妹のこと。お母さんはまだ、何かを隠している。


「そこに必ず、あいつ(憑霊)を知る手がかりがある」