由梨と英美もベンチを立つ。そんな二人にあたしは冷めた視線をぶつけ、


「どうせあたしは、今夜でゲームに負ける。だったら奪われる前に…」


と言い、胸をぎゅっとつかんだ。……そして続けた。


「この体を……あたしの手で壊してやる。……死体になればいくらあいつでも、奪えないはずだから…」


あたしの言葉に二人は顔を強ばらせた。


「変なこと考えないで。それじゃ、何の解決にもならないじゃない!」


強い口調で由梨が言う。


「そうっすよ。らしくないっす! もしかして二人の死を、自分に責めてるんすか!?」


英美の問いかけにあたしは目を見開き、押し黙った。そんなあたしを見て由梨は眉をひそめ、


「七海は何も悪くないわ。……悪いのは憑霊よ。その憑霊に屈して、自分の未来を捨てていいの?」


と問いかける。あたしは二人から視線を外し、


「……いいよ。どうせあたしは、誰からも必要となんかされてない。……これ以上、生きてたって、しょうがないよ…」


と小さく呟く。その瞬間、悪夢の遊園地であたしを罵った二人の姿が頭をかすめた。


激しい苛立ちと鬱々しさを感じ、拳を握る。


「二人だって、本当はそう思ってるでしょ? モデルを辞めて、ただでさえ一緒にいる価値がなくなったあたしが…」


そう言い、英美に視線を向ける。英美は小さく口を空け、震えていた。あたしはそんな英美から顔を背け、


「よりによって、犯罪者の娘だったなんてさ…!! そんな人と友達なんて……やってられるわけないよね!!」


と言い切った。すると由梨はすごい勢いであたしに迫ってきた。手を上げ、ビンタする体勢を取る。