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しばらく走り、見知らぬ公園にたどり着いた。


公園の水飲み場の蛇口を全開にひねると、あたしは狂ったように手を洗った。


自分でもおかしな行動だという自覚はあった。


けれどこの手が人の命を奪ったと思うと……あたしの手には、見えない血と肉塊が、神経を逆なでるほど不快に、べっとりとこびりついている気がしたのだ。


「七海!」


そんなあたしを追いかけてきた由梨と英美が声をかけた。


「何やってんのよ? こんなところで…」


由梨はあたしの腕をつかみ、蛇口から引き離すように後ろにひっぱった。弱々しく、あたしは尻餅をついて倒れた。


呆然とし、あたしは息を切らせ、蛇口から勢いよく流れる水をじっと見つめる。


そうしているうちに、瞼に涙が溜まり、


「死んだ……あたしのせいで……この手で……あたしが殺したんだ!!」


断片的な言葉で、あたしは叫んだ。拭いきれないほどの涙が溢れ、止まらない。


深い後悔と罪悪感。……自分を呪うような言葉が、頭を巡る。


「…………」


そんなあたしを、由梨と英美は声をかけることもなく、複雑な面持ちで見つめていた。


その顔の裏で……二人は何を思っているのだろう?


あたしはどうしても、二人の表情に、悪夢の遊園地で見た、二人の感情を吐き出すような姿と言葉が重なってしまった。