不気味な沈黙に、あたしの中の不安はますます大きくなる。


そんなあたしの耳に「おい、聞いたかよ? ここの家族」と野次馬の話す声が聞こえてきた。


「ああ、気の毒に……親は病院行きらしいが、娘はダメなんだろ? ……相手は金目的か?」


「さあな。さっきうろついてたサツが言うには、かなり恨みのある……恋愛のこじれだとか?」


「恋愛? 普通、恋人が彼女を……滅多刺しになんかするかよ…」


野次馬の言葉に、あたしはどっと汗をかき「通してください!!」と人混みをかき分け、規制線のギリギリまで迫った。


由梨と英美もあたしの後に続く。


規制線の側で野次馬を見張っていた若い警察官が「こら、なんだ君達は? 学校はどうしたの?」とあたし達に声をかけたが、相手にする余裕はなかった。


「嫌だ、恭子さん……恭也もまだなのに……絶対に嘘だ…」


あたしは規制線をぎゅっと握り、じっと家の玄関を見つめる。


すると玄関が開き、二人のマスクをした警察官が担架で青いビニール袋に入れられた何かを運んできた。


瞬間、辺りの空気が一気に重くなり、頭が真っ白になった。


……ひと目であたしは、その中に何があるのか? ……分かってしまった。


「恭子さんっ…!!!!!!」


悲鳴のような声を上げ、あたしは規制線を乗り越える。


「ちょっ、君!!」と怒鳴り、さっきの若い警察官があたしを押さえつける。


それでもあたしは前に進もうとし、その剣幕に驚いた担架を運ぶ一人の警察官がバランスを崩し、担架の上のものを落とした。


落ちた衝撃でビニール袋が割け、中のものが半分ほど飛び出した。


「きゃあああ!!!!!!!!!!」