「い、嫌だぁぁああああ!!!! 由梨ぃ、英美ぃ!!!! お願い、やめてぇ!!!!」


あたしは子供のように泣き叫んだ。全身を震わせ、左足の靴が飛んでいくほど暴れまわる。


しかし、文字通り死に物狂いの抵抗も虚しく、あたしは男に押さえつけられた。そんなあたしに英美はチェンソーを手に近づく。


「なんでこんなことするのぉ!!? 殺したいならとっとと殺せよぉ!! なんでなのよぉ!!!!??」


発狂し、そんなことを口走る。とにかく必死だった。


手足を切断されて死ぬくらいなら、いっそ一思いに殺してほしい!!


その方が楽に決まってる!! 苦痛が長く続くなら……一瞬で終わらせてほしい!!


逃れられない……死よりも恐ろしい拷問を前に、あたしにとって死は、むしろ現状から逃れる唯一の逃げ場にさえ思えた。


「それじゃつまらないだろ。俺達の一番の興味は……七海が極限の苦しみの中、一体どんな表情を浮かべのかなんだから」


恭也は平然と答えた。その手には録画用のスマホが握られている。


「そうよ。七海の持つ穢れた魂が生と死の瀬戸際で見せる輝きは……きっと今までのどんな瞬間よりも美しいわ……それは正に感情に一切の偽りのない、人間の本質的な美の解放よ。……分かるかしら? モデルのあなたが求め続けた美の極地がそこにあるのよ?」


由梨はまた意味のわからないことを口にした。当然、深く考える余裕もなく、あたしはただ、二人の男の手から逃れようと暴れ続けた。


「それじゃあ……まずは右腕から切り落としますか?」


そう言い、英美はチェンソーを起動させた。ニタニタと笑いながらあたしの方に近づく。


「いやぁ、止めて……」


あたしは涙でがらがらに枯れた声で英美に訴える。英美はニタニタと悪魔のような笑みを浮かべる。