震えながそう口にする自分が、総毛立っているのを感じた。


頭はだいぶ前からパニックだ。


これから自分に行われるあらゆる残酷な行為が頭を過る。


想像するだけで発狂しそうになるのを必死で押さえた。今はただ、奇跡か何かが自分を救ってくれることを祈るしかない。


……そんなあたしの恐怖を感じ取ったのか、その場にいたあたし以外の人間は、クスクスと笑いだした。


「七海は……人豚って知ってるかしら?」


由梨が答えた。


「……ヒトブタ?」


意味が分からず、あたしが聞き返す。


「中国のある王朝の正妻がね。王様の死後、嫉妬にかられて王様の若くて綺麗な愛人に復讐したの。……可愛そうに。その愛人はどうなったと思う?」


由梨の問いかけに、あたしは唇をぎゅっと結んで首を横にふった。


「四肢を切断されて、生きたまま便所に捨てられたそうよ。『手足のないこの女の様は人の姿をした豚のようだ。人豚は便所にでも捨ててさらしておけ!』って」


由梨が言ったのと同時に、ドッと笑い声がこだました。


対するあたしは全身の血が抜けたように体温が下がり、英美の持つチェンソーに目を向ける。


……これからあたしの身に何が起こるのか? 全てを悟った。