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ぼんやりと意識が回復し、うっすらと瞼が開く。


頭から血を流したあたしは、スーツを着た二人の男に片腕ずつ掴まれて引きずられていた。


まわりには二体の着ぐるみと、一人の男。


そして右手に、真っ暗な夜の中、くるくるとスローペースで回る大きな丸い光が見えた。


それがはっきりと観覧車だと分かると、あたしは耳障りな音楽の中、目を開き、完全に意識を取り戻した。


「目が覚めたんすね。七海さん」


「え、英美…」


スーツを着た二人の男に掴まれて身動きの取れないあたしの目の前に、着ぐるみ姿の英美と由梨……そして、さっきあたしを気絶させた恭也の姿があった。


あたしの腕を掴む男を見ると、右手を掴むのはお母さんのマネージャーの村上さん、左手は病院にもいた新人の若い男の人だった。


「は、離して!! 離してください!!」


あたしは必死で抵抗した。だけど、両手で片腕ずつ、しかも男の人の腕力で掴まれていたためビクともしなかった。


「無駄すよ? だからあんま暴れないでもらいます?」


英美はチェンソーを手に、呆れたように言った。


「これからあたしを……どうする気?」