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スマホで計測し、ジェットコースターはおおよそ三分で一周することが分かった。


ちょうどスタートから1分半が過ぎたとき。


「由梨!! 英美!!
降参する!! だから、あたしの話を聞いてほしい!!」


ポップコーンの屋台から、あたしの声が響いた。


「今、七海の声がしなかった!?」


「さっきの屋台からっす!! 行ってみましょう!」


あたしの声につられ、二人は乗り場から屋台へ向かう。


息を飲み、あたしは物陰から注意深く二人の様子をうかがう。


「お願い、こっちに来て話を聞いて!!」


そう言うあたしの声に、二人はゆっくりと一歩ずつ屋台に近づき、


「七海さん、ようやく出てきたんすね」


「今度は逃げないでよ。七海の言い分も、少しは耳を貸してあげるから」


と笑う。その手にはしっかりとチェンソーが握られている。


「ねぇ、あたし達、友達でしょ? 例え夢でも、あたしらの友情は変わらない。……二人だって、本当はそう思ってるよね?」


そんな命乞いをするあたしの情けない声に、屋台の前に到着した由梨は「ふっ!」と吹き出し、


「ええ、そうね。
だったら素直に、友達の前に姿を見せたら?」


と言い、ブォォン!! とチェンソー起動させた。由梨はチェンソーを振りかざし、屋台を思いっきり切りつける。