≪九条英美と立川由梨≫


さっきチェンソーで襲いかかった着ぐるみ達とは違う、現実世界にいるあたしの親友達だ。


思わずあたしは「あいつら」と笑みをこぼした。


少し気まずい感じで別れたあと、二人はあたしのことを心配して電話をかけてくれたのだろう。


それにしても同時にかけてくるとか、あたしら本当、仲が良いな。


「夢の中だけど、ちょっと目が覚めたかも。そうだ。ここにいる英美と由梨は偽物なんだ。それにあのお母さんも男も……だったらこんな悪夢、とっととあたしの手で終わらさないと」


そう決心し、あたしは立ち上がる。


もやもやした鬱憤の全てが晴れたわけじゃないけれど、とにかく今は、この悪夢を一秒でも早く終わらせたかった。


「憑霊の足のありかは分かってる。あのジェットコースターの中だ」


あたしは上を見上げる。


ジェットコースターは園内を縫うように敷かれたコースを、ぐるぐると動き回っていた。


着ぐるみを着た由梨が言っていた。あのジェットコースターは一度走らせたら止められないと。


だったら策は一つ……どこかで待ち伏せて、動いているジェットコースターから直接、足を取るしかない。


「だけど、どこに…?」