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中は電球のわずかな明かりで薄暗く照らされていた。


奥へ続く通路には奇妙な物であふれている。黄色い服を着た等身大の人形、獣を入れるような大きな檻、カラフルな玉や作り物のナイフ……


外観を見た時も思ったけれど、どうやらここはサーカスの会場らしい。


物があふれるここなら隠れるのも容易だ。


暗さに目が慣れ、通路の奥が見えてきた。そこには赤くて大きな扉と開演中の文字。たぶんその向こうに、サーカスのステージがあるのだろう。


……するとその扉から、


「きゃぁぁああああああ!!!!!!!!!!!!」


と女の人が泣き叫ぶ声が聞こえてきた。


鳥肌が立つような……あまりにも恐ろしい悲鳴だ。まるで命を奪われる瞬間、人間が発する最後の断末魔にさえ思えた。


「誰かぁぁぁああ!! 助けてぇぇ!!!!
あぁぁああ!! 嫌だよぉぉぉぉ!!!!」


涙でにじんだその声は、徐々に弱々しくかすれていく。


いてもたってもいられず、あたしは物の隙間をかいくぐり、その扉に向かう。


大きな扉の取っ手に手を置き、一瞬、躊躇ったけれど、再度両手で掴み、扉をひいた。


「………あっ!!」