もしかして、憑霊に…!?


あたしは恐る恐る後ろを振り返る。


「っ…!!」


そこにいたのは憑霊ではなかった。かといって普通の人間でもない。


青白い顔で白目の部分を黒く塗りつぶしたような真っ黒な目の女子生徒があたしをじっと見ていたのだ。


しかも異変はそれだけじゃなかった。


……さっきまで誰もいなかったはずなのに。


「う、嘘でしょっ!?」


見ると、廊下には同じような黒い目をした生徒が大勢いた。


みんなまるで昼間の学校のようにおしゃべりしたり授業の準備をしたりしている。


服装は20年くらい前まで凪瀬校の制服だったセーラー服だ。髪型もみんなどこか古くさい。


「…………」


「…………」


そして不思議なことに、みんな消音したテレビのように声や足音が一切、聞こえてこなかった。