「うぐっ……」


昨日と同じように、突然、あたしは何かにグッと意識を持っていかれ、頭を落とした。


「七海ちゃん、よく聞け。俺が外から憑霊を攻撃するが、七海ちゃんがゲームに負ければ、おそらく手出しができなくなる。だから必ず、ゲームには勝つ気で挑め」


眠りに落ちる意識の中、カイトさんの声が聞こえる。あたしは辛うじて「はい」とうなずく。


「……大丈夫。俺が憑霊を攻撃する分、ゲーム中の憑霊の動きを鈍らせることができるはずだ。勝算は十分にある」


「もし、徐霊に失敗したら…?」


「そのときは、まだ次の手がある」


視界がぼやけ、意識はどんどん遠ざかる。……もう限界だ。あたしは最後に、


「カイトさん……恭也のこと、お願いしますね…」


と声を絞り出した。


「任せろ。必ず“二人とも”俺が救ってみせる」


あたしの手をカイトさんが握る。


「お願い、します…」


目の前が真っ黒に変わり、あたしの意識は深い闇の中へと沈んでいく。まだ今夜も、あの悪夢が始まるんだ。


そう思うあたしの耳に、最後にピピピッとあたしのスマホが鳴る音が聞こえた。