恭子さんの言葉に、体がビクリと痙攣した。心臓が止まるような衝撃と、その後に、夜の街灯に群れる大量の蛾を見つけた時のような不気味な感覚に襲われた。


……じゃあ、あたしに憑いた憑霊も、元は生まれる前にお母さんのお腹の中で死んだ子供だったってこと?


それにカイトさんの話を合わせれば、その子はあたしと一緒に生まれるはずだった、あたしの双子の……


「血の繋がった兄弟同士なのに、そんなの……残酷過ぎる…」


かなりショックを受けた様子で由梨は言った。英美も同じように青ざめていた。


「……それで、そいつはそのあとも学校に?」


あたしが聞く。


「いえ、一ヶ月もしないうちに転校したわ。多分、今もどこかで私の親友の体を使って生きているはずよ…」


「…………」


恭子さんの話を聞き終え、あたし達は黙り込んでしまった。


憑霊ゲームには、あたし達が想像していたよりもずっと深い闇があった。


そのことに、ようやく気づかされた気がした。


しばらくして、


「恭子さん……実はあたしも今、憑霊ゲームの夢を見ているんです…」


あたしが口を開いた。


「……えっ!? 七海ちゃんが…?」


目を見開き、恭子さんは驚いた。あたしは恭子さんから視線を逸らした。


「はい。そのことで、恭子さんに話さないといけないことがあって…」


もちろん、恭也のことだ。きっと、恭子さんも二日間も帰っていない恭也のことを心配しているはずだ。


「その……」


言いにくくて、あたしは口をモゴモゴさせた。本当なら、もっと早く伝えるべきだった。躊躇ってちゃダメだ。


「……もしかして、恭也が家に帰って来ないことに、憑霊が関係してるの…?」