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それからあたし達はカイトさんの事務所をあとにした。


「カイトさん、すごかったわね。サディスティックカイトとか、最初見たときは絶対ヤバい人だと思ったけど」


由梨が言った。


「たしかに。でも多分、根はかなりいい人だよね」


「徐霊の方は……うまくいくんすかね?」


不安げに英美が聞く。


あたしの頭には、猫の霊を徐霊したときに見せたカイトさんの悲しげな表情が浮かんだ。


……あたしにも、カイトさんが本当に憑霊を徐霊できるのか不安に思う気持ちもある。


だけどそれ以上に、あたしはカイトさんを信じたい。


「あの人なら、きっと憑霊もなんとかしてくれるよ」


あたしが微笑みながら言った。


「そうね。でも私達だって何もしないわけにはいかないわ。最後の手がかり。憑霊ゲームを経験したって言う恭子さんに話を聞かないと」


由梨が言うと、ちょうど恭也の家に到着した。すでに時刻は夜の七時をまわっていた。


「恭子さん、もう帰って来てるよね?」


そう言い、あたしはインターホンを押そうとした。


「……あっ、ちょっと待ってください!」


英美が呼び止める。


「なによ? いきなり」