「…っ………!!」


思わず言葉を失った。


あたしに死んだ姉妹がいた?


そしてその子が幽霊になって、あたしの体を奪おうとしているの…?


色々な思いが頭を巡る。……でも姉妹がいたなんて、お母さんから聞いたことないし…。


「……とにかく、やるなら早い方がいい。今夜の憑霊ゲームが始まり次第、俺が憑霊を徐霊する」


その言葉にあたしは息を飲んだ。


「カイトさん、憑霊と戦ってくれるんですね…!」


あたしが言う。


「ああ。これほど危険な霊を放っとくわけにもいかねぇしな」


「でも、徐霊するのに、わざわざゲームが始まるのを待つんすか…?」


英美が聞く。


「今のままだと、憑霊の魂の潜伏場所が深すぎで徐霊が困難なんだ。だがゲームが始まって憑霊が七海ちゃんの体を乗っ取れば、奥から表に姿を現すはずだ…」


そう言い、カイトさんは部屋の入り口へ向かう。


「俺はこれから徐霊の準備がある。今夜の10時頃、もう一度、事務所に来い。ただし、今度は七海ちゃん一人でな」


カイトさんの言葉に、英美と由梨は顔をむっとさせた。


「嫌です! 私も来ます! 徐霊する七海を……親友として放っておけません!」


「オレもっす! オレは親友つうか……舎弟っすけど!」


英美と由梨が強い口調で言った。


「ダメだ。危険すぎる。それに徐霊に二人が立ち会っても、邪魔になるだけだ」


カイトさんが少し厳しい口調で言った。


「だけど私達……」


英美と由梨は何か言いたげな顔をした。


「その気持ちだけで十分だ。あとは俺の力を信じてくれ。必ず、七海ちゃんは俺が救ってみせる」


真剣な表情でカイトさんは言う。気持ちが伝わったのか、英美と由梨は渋々「はい…」とうなずいた。


「じゃあ、七海ちゃん、またあとでな」


そう言い、カイトさんは部屋を出ていった。