その瞬間、鳥肌が立つような冷気が辺りを包んだ。


「あっ……ああああっ……!!」


突然、里奈はうめき声を上げながら白目を向いた。


「ひいっ…!!」


明らかにさっきまでと様子が違う。ゆらゆらと体を大きく揺らし、里奈は異常なほどの汗をかいていた。


すると里奈の背中から、真っ黒な雲のようなものが出てきた。


その雲は天井まで達すると、四本足の大きな獣の姿に変わった。真っ赤な目に鋭い牙。


今にも誰かを噛み殺しそうな形相で「ウギャアアアアアアアアア……!!!!」と凄まじい声量で叫んだ。


「きゃあああ!!」


目の前で起きたあまりにも非日常的な光景に、英美達は半分パニックになりながら悲鳴を上げる。


「………」


耳をつんざくほどの叫びが響く中、カイトさんは落ち着いた表情で目を閉じた。二本の指を立て、顔の前にかざす。


そして目を開け、悲しげな表情を浮かべると、