「……まとめると、今分かっていることはこんな感じね」


由梨が書いていたのは、これまでに分かった憑霊ゲームに関するルールだった。紙を見ると……


①憑霊ゲームは夢の中で行われる。

②憑霊と鬼ごっこして、捕まると現実世界の体を奪われ、二度と悪夢から目を覚ますことができなくなる。

③憑霊ゲームに勝つには、エリア(毎回違う)に隠された憑霊の体の一部を見つけ出し、「○○返す、私の勝ち」と、手で対象物に触れながら宣言しないといけない。

④憑霊ゲームの夢を見ている間、現実世界の体は憑霊によって乗っ取られる。

⑤憑霊ゲームは四日間続く。


……と、書いてあった。


「だいたいみんなこのくらいは噂の範疇で知ってるんすよね。

……だけどそれ以外の、特に一番弱点につながりそうな憑霊の正体とかを知ってる人にはなかなか会えないんすよ」


英美が言った。


「憑霊の、正体ね…」


たしかにそれが分かれば、何かあいつの弱点に気づくきっかけになるかもしれない。


「七海の話だと、憑霊は七海に何らかの恨みを持っているんでしょ? 何か心当たりある?」


由梨が聞いた。


「いや、それが特にないんだよね。今まで生きてきて、人に恨みを買ったことなんてないし…」


「本当っすか? 七海さん気が強いですし、もしかしたらモデル時代に蹴落とした人がお化けになって七海さんに復讐しに来たとかは…」


「いやいや、ありえんわ! てか蹴落としたことなんてないし!」


……たぶん。


「とにかく、今は地道に聞き込みを続けて何か新しい情報が出るのを待つしかないわね」


そう言い、由梨はさっきの紙を眺めた。


「うん。そうだね。あたし達が知らないだけで、まだ何か憑霊の噂があるかもしれないし」