申し訳ない気持ちで、あたしは由梨に近づいて由梨の肩を握った。すると由梨はビクッと肩を震わせて首を横にふった。


「わ、私は大丈夫。……でも、本当だったのね。憑霊ゲームのこと…」


英美と由梨は頭を落とした。二人とも実際に憑霊に乗っ取られたあたしを見て、憑霊ゲームのことを信じざるおえなかったようだ。


「ごめん。本当にごめん。……二人を危険な目に合わせるつもりはなかったんだけど…」


あたしは二人に頭を下げた。


甘かった。縛られていれば大丈夫だと思ったのに。まさか憑霊が英美と由梨を殺そうとするなんて。


元に戻った今でも、二人はまだあたしのことを怖がっている様子だった。


でも無理もない。だって、憑霊に乗っ取られていたとはいえ、友達のあたしに殺されそうになったんだから。


「七海さん。……昨日も憑霊に体を乗っ取られたんすよね。……そのときは……どうだったんすか?」


英美が聞いた。


この際、隠す必要もないだろう。あたしは今まで二人に言わなかった恭也のことを話すことにした。


「実は昨日、恭也を……」


恭也が憑霊に襲われて指を切られたこと。恭也が今、行方不明になっていること。そしてトイレに書かれていた、あのメッセージのことも。


あたしは全部、二人に話した。


「…………」


話を聞き終え、二人は全身の血を抜かれたような真っ青な顔をした。


気まずい沈黙が三人の間に流れる。