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それからあたしは、寝ている間の姿を撮影したスマホの映像を確認した。


あたしが眠りに落ちたあと、由梨がすぐにスマホのスイッチを入れて撮影したらしい。


「何よ、これ……」


そこに映っていたのは、たしかに椅子に縛られたあたし自身の姿だ。


……だけど、あたしはまるで悪魔に乗っ取られたように変貌していたのだ。


『離゛せ゛ぇ゛!! 糞゛糞゛糞゛糞゛!!!! …………殺゛す゛!!!! 殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す!!!!』


映像の中で、あたしは男のようにドスのきいた声で由梨と英美を怒鳴っていた。


縛ったロープを引きちぎろうと椅子の上で何度も体を揺らし、暴れ続ける。


「……これ、本当にあたしなの…?」


言葉にならない恐怖を感じた。憑霊に乗っ取られた自分が、まさかこんなに変わっていたなんて思わなかった。


「元に戻る直前に、七海さん……ロープを無理矢理引きちぎって由梨さんに襲いかかったんです。それで……由梨さんを殺そうと首を絞めて…」


英美が震えながら言った。


「えっ……」


あたしが、親友の由梨を……?


普段は人一倍大人びている由梨が身震いをしてから目をぎゅっと閉じて涙をこらえた。


「ごめん、由梨……」