しばらくしてあたしが落ち着くと、
「よしっ! 気分転換に遊びにでも行こうぜ!」
恭也はあたしを元気づけるためにデートに連れていってくれた。
まず恭也のバイクに乗り、海沿いを潮風を浴びながら二人で走った。
それからお昼は人気のレストランで甘酸っぱいレモンケーキをお腹いっぱい食べた。もちろん恭也のおごりで。
デート中、恭也はあたしを元気づけるためにいつにも増して明るくあたしを笑わせてくれた。
恭也は優しくてとってもおもしろい人だ。
それに一緒にいるとなんだかあたしの抱える悩みが小さく思えてしまうような不思議なパワーがある。
そんな恭也のおかげで次第にあたしはいつもの笑顔を取り戻していった。
夜になると、あたし達は町中にあるアンティーク調のおしゃれなカフェに行った。
カフェ自慢のはちみつコーヒーを飲みながら二人で談笑していると、
「なぁ、そういえば七海って凪瀬高校の生徒だよね」
恭也があたしに言った。
「うん。そうだけど、それがどうかしたの?」
「俺の姉ちゃんも凪瀬校出身でさ。昨日姉ちゃんに凪瀬校の噂ですげぇ怖い話聞いたんだけど、七海も聞きたい?」
そう言い、恭也はニヤニヤと笑った。
「えっ、おもしろそう! 話して話して!」
ちょっと怖い気もしたけど、あたしはこの手のオカルト系の噂話は嫌いじゃなかった。
「憑霊ゲームって話。凪瀬校では有名らしいけど、七海は知ってる?」
「ヒョウレイゲーム? うーん、聞いたことないなぁ。それってどんな内容なの?」
あたしは興味本位で恭也に聞いた。