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「あれ? ここって…?」


目を覚ますと、あたしは真っ暗な夜の学校の中で倒れていた。


服装も寝る前に着ていたネコのパジャマから高校の制服に変わっている。


わけがわからないまま、あたしは体を起こし辺りを見渡した。


目に映ったのは見慣れた下駄箱と傘立て。それに木造の長い廊下と、掲示板にある薬物禁止の真っ赤なポスター。


どうやらここはあたしが通っている凪瀬(ナギセ)女子高校の昇降口のようだ。


「寝る前は家のベッドにいたはずなのに……なんであたし、学校なんかにいるんだろう?」


少し考え、ハッと気がついた。


……そっか。あたし今、夢の中にいるんだ。


そう考えれば、ベッドから突然、学校にいるのも納得がいく。


たまにこうやってあたしは、夢の中で自分が夢を見ていることを自覚できた。


たぶん現実世界のあたしは、まだベッドの中で眠っているのだろう。