携帯を手に取るとサイトにメッセージが届いていることに気付いて確認した。
　その内容を見て息をするのさえ忘れるほど時間が止まった気がした。

　そして次第に時間を取り戻すと持っていた紙パックを強く握っていた。
　まだ中身が入っていたせいで中身がこぼれ落ちる。

「黒田さん大丈夫ですか？」

　近くにいた女性社員に声をかけられてハッとする。

「あ、あぁ。悪い。ぼんやりしてた。」

　会社で取り乱すなんて何をやってるんだか。

「黒田さんも案外抜けてるところあるんですね。」

　よく知らない女に微笑まれて居心地が悪い。

「いや……ハハッ。そうかな。」

「ここは拭いておきます。
　手を洗ってきてください。」

「ありがとう。助かるよ。」

　言葉に甘えて手を洗いに行く。

　出来ることなら中身が入っているなんて気にせずに、中身をぶちまけようともゴミ箱に投げ捨てたかった。

　ジュースも携帯も何もかも。