再び電話が鳴って、ため意を吐いた伶央さんが電話に手を伸ばした。
　それを止めるように声をかけた。

「どうして出るんですか？
　からかいたいからですか？」

　鼻先で笑った伶央さんが思ってもみなかったことを言った。

「からかいたいからもあるけど。
　俺といるせいで尚之さんと連絡を断つような真似はして欲しくない。」

「………どうして？」

「まぁ俺も妹がいる身だから、かな。」

　微笑んだ伶央さんが携帯の受信ボタンを押して私に渡した。
　今度はいたずらはせずに見守っていてくれるつもりみたいだ。

『莉緒？』

　不安げな声がおかしくて吹き出した。

「お兄ちゃん。
　お兄ちゃんも大好きだから大丈夫だよ。」

『莉緒！！！』

「でもお兄ちゃんも伶央さんを認めてるから手出しして来ないんでしょ？」

『それは……。』

「それは違うな。」

「え？」

　すぐ近くで否定されて伶央さんの顔をまじまじと見つめた。