「絡まれる女の子が気になってしまうのは、誰かと重ねてしまっているのかもしれませんね。」

 誰かと…重ねて。

 胸の奥に僅かに痛みを感じてもう一度、伶央さんを見る。
 不意に目が合ってため息を吐かれたのが離れていても分かった。

 ツカツカと歩み寄ってきて冷たい言葉を浴びせられた。

「それを飲んだら帰るんだ。
 お子様が来るところじゃねぇんだよ。」

 相容れない雰囲気に俯いてアップルジンジャーを飲み干した。
 さっきまで甘かったはずなのになんだか苦くて泣けそうだった。