その日の夜。今日の晩ごはんは加島が作ってくれて、テレビを見ながら食べていると、鈍いバイブ音が部屋に響き渡る。
「出なくていいの?」
私は加島のスマホを指さした。
さっきからひっきりなしに電話をかけてくる相手が誰なのかは分かっている。だって、画面には【着信 理沙】の文字。
「出ても理沙じゃないと思うし。たぶん理沙に言われて俺を説得させようとしてる母さんか父さんですよ」
そう言って加島は麦茶を一口飲んだ。
以前、加島が言っていた親を敵に回したって言葉。その時は意味が分からなかったけど、ひょっとして理沙ちゃんのことと関係があるんだろうか。
「……加島のご両親は加島より理沙ちゃんの味方なの?」
私の質問に、加島が重たい口を徐々に開きはじめた。
「理沙とは本当に家族当然で育ってきたんです。俺も理沙のことを妹みたいに可愛く思ってました。だから理沙が言ってくれる〝好き〟はてっきり家族としてだと思ってたんです。でもだんだんそうじゃないことに気づいて……」
「………」
「最初は何度も断ったんですよ。妹にしか見えないって。だけど、今度はうちの両親に相談しはじめて、母さんも父さんも理沙のことを可愛がってるから、『理沙ちゃんが将来のお嫁さんになってくれたら嬉しい』とか『理沙ちゃんを泣かせるようなことはするな』って、言いはじめたんです」
加島が困ったように眉を下げた。



