この恋は少しずつしか進まない







次の日。喧騒としている教室で一際に大きい声がひとつ。


「えっ、辰己さんにやり直そうって言われたの!?」

「もう、美伽。声が大きいよ」


美伽には付き合ってた時から相談に乗ってもらってたし、別れたあとに私が新しい恋が出来ずにいたことも知ってるから報告しなきゃと思った。


「それにやり直そうとかじゃなくて、俺とのことを考えてみてほしいって……」

「同じことじゃん。それで返事は?」

「まだしてない」


ゆっくりって言ってくれたけど、1か月、2か月待たせるわけにはいかないし、今日の朝も【おはよう】とメッセージが届いていた。

彼の連絡先を知っているのに、連絡できずにスマホを握りしめていたあの頃。

こんな未来が訪れるなんて夢にも思ってなかったし、正直まだ現実として受け止めきれていない。


「どうするつもりなの?」

「………」

「伊織はずっと引きずってたし、辰己さんに気持ちが残ってたんじゃないの?」

美伽の質問に私は無言のまま。