この恋は少しずつしか進まない




注文したアイスティーとホットコーヒーはすぐにきた。辰己さんはすぐにコーヒーを口へと運ぶ。

大きな手で華奢なマグカップの持ち手を持つ仕草がすごく好きで、辰己さんがホットコーヒーを飲むたびに私はいつもキュンとなっていた。


「学校はどう?楽しくやってる?」

「……はい。楽しいです」

「二年生だもんね。これから進路とか考えなきゃでしょ?」

「私は全然まだ……」


辰己さんは空白の時間は嘘のように普通だった。それは経験の差なのかもしれないけど、私はどうやって辰己さんと話したらいいのか分からない。

むしろ、付き合ってた時はどうやって会話をしてたっけ。

一番近くにいて一番信用できて、辰己さんと会うことがなによりも楽しみだったはずなのに、今は会えて戸惑っている。


別れたばかりの頃は未練がましく、ふたりでよく行った場所に行って偶然でも会えないかな、なんて、ちょっとストーカーみたいなことをしてた時もあったというのに。


辰己さんに想いを寄せてる時には会えなくて、辰己さんのことを忘れかけていた頃にこうしてばったりと再会させるなんて……。


神様は本当に意地悪だ。