この恋は少しずつしか進まない




……お姉ちゃんが本格的に向こうに住みはじめたらちょっと寂しくなっちゃうな。

今でも滅多に帰ってこないけど、結婚も考えているんだろうし、そうなったらお姉ちゃんと同じ家で暮らすことはないんだなって……。

そんな寂しさが顔に出ていたようで、お姉ちゃんがぽんっと私の肩を優しく叩いた。


「今日の晩ごはんはカニ鍋にしよう」

その提案に空気が明るくなる。


「あ、俺作りますよ。一応料理担当なんで」

「マジで?料理男子なの?加島くんポイント高っ」

「でも野菜とか全然ないんで買いにいかないと」

「あ、だったら近所のスーパーにみんなで行こうよ」


どうやらお姉ちゃんもカニを食べていくつもりらしい。

お姉ちゃんと加島はどこか波長が似ていて、私が加島のことを目に止めてしまう理由が少しだけ分かった気がする。


「じゃあ、私、カニの足数えるから本数は平等だよ」

そう言うと、ふたりから「えー」と大ブーイング。


今日はなんだか、とても楽しい夜になりそうだ。