この恋は少しずつしか進まない




お姉ちゃんと加島の視線が合い、先に動いたのは加島のほうだった。


「初めまして。加島直人です」

スッと立ち上がり、丁寧にお辞儀をする。


「水沢先輩の学校の後輩で、いつも先輩にはお世話になってます」

遠慮や配慮に欠けるヤツだと思っていたけど、こういう時にはしっかりと丁寧に挨拶をするようだ。


お姉ちゃんは腕を組みながら加島の全身を凝視するようにして見ていた。やっぱりお姉ちゃんに相談せずに家に上げたのはまずかっただろうか。


「合格」

「「え?」」

私と加島の声が恥ずかしいぐらいハモった。


「だから合格!やるじゃん、伊織!こんなイケメン掴まえるなんて、さすが私の妹だよ」

「いや、掴まえてないし……」

「ねえ、いつから伊織とそういう関係なの?」と、お姉ちゃんが加島に聞く。


そうだ。お姉ちゃんも加島同様にあまり人の話を聞かないタイプだった……。


「うーん、関係は1週間ぐらい前ですかね」

「うわ、初々しい!一番楽しい時じゃん!」


なにやらおかしな方向に会話が流れている。

このパターンには見覚えがある。こういう場合は加島に喋らせてはいけないことも学んだ。


「お姉ちゃん、ちゃんと説明させて!」

私は話が盛り上がらないように、ふたりの間に入った。