それから数日が経って、今日は休日の日曜日。ごみ捨ても掃除も加島の当番だからゆっくり寝ていられると思いきや……。


――ピンポーン、ピンポーン。

早朝から鳴り響くインターホンの音。

……こんな時間に誰だろうと、私は寝ぼけまなこでベッドから出る。


「先輩、痛いっ」

「あ、ごめん」

カーテンすらまだ開けてないから薄暗くて、加島の足を踏んでしまった。
 

「ごみ捨て代わりに行ってくれるんですか?」

昨日、ふたりして録り溜めていた連ドラを夜遅くまで見ていたから、加島もまだ眠いらしい。


「行かないよ。誰が来たのか見てくる」

「新聞ですかね?」

いや、新聞取ってないし手渡して渡さないでしょ、と思いながら私は玄関へと近づく。そして警戒心を強めてドアの覗き穴から確認した。


……え、と私の思考は一瞬ストップする。ドアの向こう側にいる人物は――。



「お、お姉ちゃん?」

それは彼氏と半同棲中の姉だった。


「伊織、開けてー」と、叫んでいて、私は慌てて鍵を開けた。


「ど、どうしたの?」

「ごめん。鍵忘れちゃってさ」


お姉ちゃんの顔を見たのは1か月ぶり。

連絡は頻繁に取っているけど、アパレル関係の仕事をしてるから毎日くたくたになるぐらい忙しいと言っていた。