「私、すごく反省してるの。思えば私たちって小さい頃からずっと一緒にいたから家族同然だったでしょ?だから直人が私のことを女と思えなくなるのは当然だなって」

「……違うよ」

「でもね、私これからは努力するし、また振り向いてもらえるように頑張るから家に戻ってきて。私、直人がいないと生きていけないよ……」

乾いた地面に理沙ちゃんの涙が落ちていく。


事情は分からないけど、このふたりの間になにかあったことは明らかだ。

それで、加島が家に帰れない理由にも繋がっている気がする。


理沙ちゃんの泣き顔を見ても加島はなにも言わなかった。優しい加島なら頭を撫でるぐらいはしそうなのに、相変わらず困惑してる顔のまま。

そんな加島を見て、理沙ちゃんはおもむろにポケットからピンク色のスマホを取り出した。


「直人が決められないなら、おばさんとおじさんに連絡する」

「り、理沙……」

「おばさんとおじさんは私の味方だもん。ここに呼んで来てもらえば直人だって目が覚める――」


「あ、あの!」

理沙ちゃんの言葉を遮るように声を出したのは私だった。