この恋は少しずつしか進まない




……段ボールで家?

なんだかものすごく聞きたくないことを聞いてしまった気分。


――『ああ、寝床ならもう決まりました』

あれって、そういうことだったの?


ぶつぶつと独り言を言いながら私は校舎を出る。空にはどんよりとした灰色の雲が広がっていた。

そういえば今日の夕方から雨が降るって天気予報で言ってた気がする。

今朝はバタバタとしてたから傘持ってくるの忘れちゃった。当然、一緒に家を出た加島も持ってない。

っていうか段ボールの家ってなに考えてんだろう。

無謀っていうか突拍子がないっていうか、本当にもう……。


今にも雨粒が落ちてきそうな空にため息をはいたあと、私はポケットからスマホを取り出した。画面をスクロールして連絡先を探し出す。そして……。


「今どこにいるの?」

気づくと私は加島に電話をかけていた。


『急にどうしたんすか?』

スピーカーから聞こえる加島の声は直接聞くよりも低く感じる。

声の向こう側でなにやらガサカザと作業をしていて、もしかしたら本当に段ボールで家を作ろうとしてるのかもしれない。