この恋は少しずつしか進まない




そして放課後。ホームルームが終わって私は早々と帰る準備をしていた。


「ねえ、伊織。これから彼氏と映画見て晩ごはんはどこかで食べていく予定なんだけど一緒に来ない?」

「え、い、いいよ!邪魔したくないし」

「もう邪魔なわけないじゃん。伊織は親友なんだし」


その言葉にじーんとしながらも、せっかくのデートなんだからと今回は断って美伽を送り出した。

私も準備を終えて昇降口へと向かい、下駄箱の扉を開けたところで声が聞こえた。
 

「ねえ、加島くん見なかった?」

それは三年生の女子ふたり組。

盗み聞きするつもりはなくても真後ろの下駄箱で話されたら無条件に内容は届いてくる。


「知らないよ。なんで?」

「なんか今日、美術の先生に頼んで段ボール集めてたじゃん?だから協力しようと思って教材室を見にいったら空の段ボールいっぱいあったから教えてあげようと思ったんだけど」

「ああ、私も聞かれた。段ボールで家ってどうやって作るのって。なにするつもりだろうね。秘密基地かな?」

「可愛いよね、加島くん。秘密基地が完成したらお菓子持っていってあげようかな」

そんな会話を残して三年生は去っていく。